ふと窓の外に目をやると
黒い煙が立ち昇っているのが見える。
コリャ近いぞ…。
すぐさまTVのスイッチをつけた。
場外市場で火事だという…。
現場に着いたもののすでに終わりましたなんてコトにならないか…?
一瞬たじろいだ。
でも行くだけ行ってみよう…。
もう止まらない。
完全にスイッチが入ってしまったようだ。
出発し、現場へ急ぐ。
少し前のハナシになるが
今年の3月30日の午後3時40分頃
札幌市中央卸売市場の〝 場外市場の一部店舗 〟から火災が発生。
テイクアウト用に作っていた揚げ物が原因という。
普段は新鮮な海産物やメロンなどが販売され
早朝から客が訪れる観光名所だが
このコロナの状況下観光客が激減して
テイクアウト用のメニューを増やしていたのだろう…。
火事の背景にはコロナが影響していた。
コロナに加え今度は火事である。
市場の方も踏んだり蹴ったりでなんとも気の毒だなと思う。
現場に着いたとき
最初の大きな煙はある程度収まっていたが
辺りは煙と嫌な匂いで充満していた。
店舗内の延焼は続いていて
引き続き消化活動が慌ただしく行われていた。
複数の消防署から派遣されたのか
もの凄い隊員の数だった。
写真は一期一会だ。
人生も一度切り。
撮らずに後悔するより
撮ったけど上手くいかなかった…。
その方がマシだ。
自分に納得ができる。
意義がある。
一歩前に進むことが出来る。
だからその一歩のためにシャッターを切る。
どさくさに紛れて出来るだけ近付き
私はとにかく切って切って切りまくった。
呑気に三脚立ててる場合じゃない。
常に状況は変化する。
状況を見つつも動きながら
シャッターチャンスをさがす。
こういうのホント難しいな…。
群がっていた弥次馬たちや
テレビ局の連中もいつの間に姿を消していた。
こんな時間にこんな事してるのは俺だけだ。
でもこれで被写体は完全に俺だけの〝 モノ 〟になった。
今ここで俺を超えるものは誰もいない。
全てを支配したような気分だ。
オマエが撮らずに誰が撮るというのか…。
改めて写真を見ていて気づいたが
こういう時だから
ほとんどの隊員がちゃんとマスクを付けながら作業してる。
いまだマスクもつけずに街中ぷらぷら歩いている奴も見かけるという中で
ホント凄いよ…立派なもんだ…鑑だよ。
なんともアタマが下がる思いがした。
一部店舗と一見規模は小さいが
夜の10時ぐらいまで作業は続きやっと鎮火した。