The Art from Hokkaido by SHIRAKAWA Hiromichi

Japanese artist's gallery and diary

写真家 鬼海弘雄 氏が死去

 昨晩のトランペッター近藤等則氏の死去のニュースにも驚いたが、個人的には今日の午後のこの一報にはさらに驚かされた。また素晴らしい才能がこの世を去ってしまったか。75歳…。NHKは巨人の岩隈投手が今季限りでの引退を表明…そんなもんはしっかり報道するくせに、芸術や美術に関する事にホント疎いというか、何処にアンテナ張ってんだよ…。こんな凄い人が、こんないい作品残した人が亡くなったというのに…ひとっ言とも触れない。静岡のアレじゃないが、それこそ「NHKの教養レベルが露見」と言っても過言ではない。確かに彼は素晴らしいピッチャー〝 だった 〟とは思うが、そんなのもう昔の話でどうしても今更感が否めない。ファンの前に出てウンともスンとも何もない。もうとっくに終わった人だ。速報で伝えるほどの価値など既になし。結局スポーツなんか時間が経って、その人が死んだら何も残らねぇんだから。単なる紙切れの上の数字だけ。そんなもんだよ。プロスポーツなんて。

代表作は『PERSONA』
 浅草のある一定の場所に立ち、偶然そこへ訪れた人々や地域に住む人達を真正面から写したシンプルなポートレートである。手法が斬新というわけではないが(アラーキー いわく成功法と表現していたが)強烈に〝 その人物(被写体) 〟が伝わってくる。写っているのはいわゆる一般の普通の市民である。でもそれがまったく普通じゃない。一癖も二癖もあるキャラの人達がモノクロの静謐な画面に写し込まれていて見応えがある。これが現在の大都市〝 東京 〟の人々の姿なのか?と思えるほどである。マンガ〝 銀魂 〟に出てくるような未来の惑星の話のようでもあり、それらの写真に一瞬自分の住む世界とは違った時間や空間を見てしまうような…錯覚を覚えてしまう。写真に興味のある方は一度見ておいた方がいい。

 私は個人的にこれも氏がモノクロで写した『東京夢譚』という写真集が好きだ。東京の街を丹念に歩き、氏によって切り取られた、東京なら何処にでも見かけるような、ひっそりと佇む普通だけど普通じゃない都市の姿になんだかいつも驚かされてしまうのだ。