The Art from Hokkaido by SHIRAKAWA Hiromichi

Japanese artist's gallery and diary

サムライのラストメッセージ

 私が映画館で最後に映画を観たのはいつだったろう…。もう10年以上前になるだろうか、写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンのドキュメンタリーを観たのが最後だ。あれ以来わざわざあそこまで行って観たいと思わせる映画もなく、私にはたまにTVでやっているやつを観ていれば充分な程度だ。
 先日NHKのBSで引退を表明したフランスの俳優アラン・ドロンのインタビュー番組を再放送していたのを観た。彼と言えば『太陽がいっぱい』とか伊の巨匠、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『若者のすべて』や『山猫』での姿を思い出す。『地下室のメロディー』も面白かった。あの映画は音楽がいい。良い映画にはいい音楽が流れているものだ。最近の映画には流行りの歌手の歌なんかが流れていたりする。あれがたまらなく嫌だ。何年かぶりに観るとほんと古臭い匂いがしてくるようで嫌になる…。まぁそれはさておきインタビューは興味深く印象に残った言葉がいくつかあった。
 ヴィスコンティ監督について、彼を素晴らしいオーケストラの指揮者に例えていた。まるでカラヤンのようだと。若かりしころ俳優として数多くのことを彼から学んだと言っていた。それから俳優とコメディアン(喜劇役者)の違いは?という質問に対して、コメディアンというのは役を演じるものであり俳優は役を生きることだと言っていた。彼の俳優としての自負を見た気がした。彼は日本の文化にも興味があるみたいで、記者にもし自分が死んだ時新聞にはどんな見出しが載るのか尋ねると「サムライが死んだ」にするという言葉になんだか嬉しそうにしていた表情がとても印象的だった。彼が主演の『サムライ』という映画があって、なんだか一度観てみたくなった。 

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