ある晴れた春の日和に
私はまたそこへ足を踏み入れた。
冬枯れのままの灰色の景色の中で
光に透き通る柔らかそうな新芽の緑と
青い空のコントラストがとても爽やかで美しく
体中の細胞が目覚めるようだった。
それらはまるで大地の中に張り巡らされた
毛細血管のようであり
〝 自然 〟という人智をはるかに超えた巨大なシステムに繋がれた
膨大な配線ケーブルが複雑に絡み合うようでもあった。
それらが手前から奥まで無限に重なり
遥かむこうには山頂のシルエットと
木々の枝々のあいだからは
山の緩やかな稜線が微かに見てとれた。