一体何度シャッターを切ったことか…。
早春の頃たまたま見つけたこの混沌とした場所で
この時この運を逃すまいと
とにかく一心不乱に切った。
あそこは未だ残ってるか…。
その後いくつかの季節毎に来ては
どんな絵が出来るのか何度も撮影を試した。
こんな場所自分がやらなければ
今後誰からも顧みられることなど無いだろうし
人々の記憶や歴史から容易に葬られていただろう。
実際、撮影の数年後全てのモノは取り除かれ
まっさらに宅地造成された後
まるであんな光景がなかったかのように
真新しい戸建ての家が並ぶ一角に変わってしまった…。