石造りの倉庫に挟まれた小径…。
ここに辿り着いた時
私の中で
こんな想像が膨らんでいった。
大勢の商売人や仲買人の威勢のいい掛け声。
山のように積み上げられた荷物を運ぶ究竟な男達が
絶えることなく行き交う…。
かつてこの街は〝 北のウォール街 〟と呼ばれていた。
でも往時の佇まいを残すこの場所には
もうほとんど人通りはなく
私独りだけである。
静かに雪の舞い降りる中、
パシッ、
パシッ、
また
パシッと、
ただ乾いた音だけが
雪の中に吸い込まれて行くようだった。