札幌は明治になってから本格的に出来上がった新しい街だ。京都を参考に道路は碁盤の目のようにはしり、エリア毎に役割がキチッと分けられ計画的に機能的に設計された。
有名な道庁赤レンガのあたりを政治や行政の中心地とすればテレビ塔そばを南北に流れる創成川から東の方向、豊平川までの川沿いまでの地域は大きな工場のある産業のエリアだった。サッポロビールや日本清酒の工場と様々な中小企業が集まり、北の方向へ足を伸ばせば苗穂にはJRの巨大な工場がある。しかしJRや日本清酒の工場は今も稼働しているものの時代の変化とともにビール工場などはその役目を終え、レトロなレンガ作りの建物は観光のランドマークになり、景気の低迷もあってか、中小の企業は数を減らし所々駐車場や空き地のある虫食い状態のなんとも静かで物寂しい、廃れたエリアになってしまった。
しかし2000年代に入って状況が変わり始める。大通り公園やススキノからきわめて近いのを売り文句に古めかしい建物や住居はいつの間に取り壊され、余っていた空き地には次から次へと新しくマンションが立ち始め、景色が急速に変わっていった。そして何時しかこのエリアは〝 創成川EAST 〟などと小洒落た呼び方をされるようになった。おそらく開発業者が代理店に頼んで作ったキャッチコピーから来ていると思うが…私からすれば寂れた地域に無秩序に真新しい巨大なオブジェが全く溶け合う事なく立ち並ぶこの街の姿は、お世辞にもオシャレとは言い難い。醜悪にも見える。マンションの広告なんて都合のいい嘘の塊のようなもんだよね…。
何処となく開発の勢いは失ったものの、まだ道半ばでありこの街の変化は今後更に続くと思われる。