The Art from Hokkaido by SHIRAKAWA Hiromichi

Japanese artist's gallery and diary

〝 アナログ 〟の叫び声

 つい数日前ネットの記事に目が止まった。創刊から100年近く経つ老舗雑誌アサヒカメラが休刊するという。私も何度か購入しお世話になったが(全てまだ本棚にしまってあると思う)、雑誌の売上低迷に加え広告収入の激減によるものだという。そういう状況が既にあったところ、更に新コロが最後にそれらの影響に拍車を掛けてしまった。既に広告の世界では紙やテレビ媒体からネット中心に移っているわけだし、もうとっくの昔に雑誌メディアの価値は死んでいる。遅かれ早かれこういう事になってしまうのは目に見えていたと思うが…。
 アサヒカメラという紙媒体の雑誌において組まれていた今月号の特集テーマが、〝 デジタル時代に見いだす新たな魅力/今こそ、フィルム! 〟というのは随分皮肉な話だ。休刊を意図したものなのかは分からないが、私にはまるで〝 アナログ 〟の死に際にその口から出てきた虚しい叫び声のように聞こえた。
☆追記
フィルムの方が味わいがあるとか、温もりがあると人は言うが、私が思うに加工せずストレートに写す事だけ考えれば、今では性能の上がったデジタルカメラの方がその色味や写る構造・仕組みにおいて、より人間の目(肉眼)に近付いたリアルな像だと思う。かえってフィルムの方が間接的な構造の故版画の部類に近く、その像は作為的で人工的じゃないかとさえ思える。いいとか悪いとか、という話ではない。そこで写真家というのは、単に自分が望む表現に合わせてそれらを使い分ければいい…と思う。