The Art from Hokkaido by SHIRAKAWA Hiromichi

Japanese artist's gallery and diary

東京2020 五輪のマラソンと競歩が札幌で開催される方がいいと思える個人的見解

 今日の昼から開催されたからIOCとの4者協議を終えて、来年の東京五輪のマラソン競歩が札幌で移転開催されることが正式に決まった。突然決定事項だとIOCから宣告された小池さんの気持ち、これまで準備を進めてきた事を考えると気の毒に思えるが、そもそもドタキャンと言えば小池知事が就任当時すべてを見直すとIOCやオリンピック委員会、東北の人達を混乱させたのは記憶に新しい。任期終盤に来てバッハ会長からブーメランが帰って頭に刺さってしまったわけだ。私には自業自得に見える。でも今回の件、棚からぼた餅というか天から降って湧いたようなあり得ない話だ。オリンピックを生で見られるのか…。こうなればちょっと直に見に行こうか…なんて気持ちになる。倍率が高く取りづらい高額なチケット、同じく取れるかどうかもわからないホテルや飛行機の予約。そしてあのクソ暑い8月の東京。個人的にはそもそも諦めていたというか、直に見に行くよりテレビで見てるのが一番だと考えていた。それはきっと私だけではなかったはずだ。
 今回はIOCが選手の体調を考慮したのが大きな理由だが、札幌で開催されるのがいい点を私なりに斜め読みしてみた。あくまで私の個人的見解だが。
 マスコミではマラソンを「みんなが期待していたから」とか「最終日のオリンピックの花形種目だから」と、東京で開催することに拘っていたけどその花形種目のラストシーンにおいて日本人が金メダルを取る可能性は極めて低い。いや、メダルを取ることさえ非常に困難であるということがわかっていないのだろうか? かつて日本陸上界は男子は瀬古、宗兄弟、中山、森下、女子は有森、高橋、野口とマラソンで大きな結果を出してきたが、もうそういう時代はとっくの昔に終わったのだ。高橋・野口が金メダルを獲った頃、層の厚かった女子の選手達や箱根で活躍したスター選手など、実力のある人材を世界のトップに育成できないまま皆いつの間にか引退させて、良い流れを完全に断ち切ってしまった。日本はもうマラソン大国なんかじゃない。今現在、その実力から言って表彰台にはケニアなどのアフリカ勢が独占しても何らおかしくない状況だ。男も女も。世界のトップと比べて日本のランナーの実力差は大きく弱々しい。オリンピックでは基本的に実力のない者がまぐれでメダルを取ることはできない。「なんだ、せっかくこんなに準備したのに日本人選手全然だめじゃん」なんて状況が予想される。最高潮に達したお祭り気分はラストシーンの所謂花形種目で一気に冷めてシラケる可能性がある。これは致命的だ。マラソンはもう日本にとって花形競技でも何でも無い。反して競歩は今、世界トップのレベルにいて金メダルを取る可能性、日本人ワンツーフィニッシュも全然夢ではない。個人的にはものすごく期待しているのだがこの競技、強烈に地味でマイナーな種目で現在注目度は〝 全く無い 〟と言っていい。だったら遠い札幌で午前中にさっさと終わらせて、カメラを東京の会場にすぐ切り替える。そしてそれまでのメダルの成果でも振り返りながら勝利の酔いが醒めないまま閉会式に繋げて、派手にフィナーレを迎えるのが皆最後にHAPPYになれるのではないか。
 もう一つ前向きな考え方として、これで東京の会場で行われるパラリンピックのマラソン競技というものが、俄然大きく注目されるのではないか。思いっきり選手を応援しながら鬱憤を晴らすがごとく東京の街をアピールしまくって盛り上げてやればいいんじゃないの? これって結果いいことだよね? 2つの大会が終わった後、案外「良かったなぁ」なんて皆が思えるようになるのではないかと私は結構楽観的に考えている。
 
「場所が変わったので僕たちもうメダル取れましぇ〜ん。」なんて泣き言を言うようであれば日本のマラソンは終わりじゃないの? もうとっととやめたほうがいいよ、瀬古さん。
 今年のドーハの世界陸上競歩で金メダルを獲った山西選手のような、どんなに暑くてもどんな場所でやっても勝つ、あぁいう強さみたいなものを日本のマラソン界はもっと見習ったほうがいいよ。